贈与税の相続時精算課税制度|最大2,500万円の非課税枠を賢く活用する方法

最終更新日:2024年12月11日

クリニックマーケティング代表・山本 亮介

執筆者

紡人(つむぎびと)発起人

中澤 寛(なかざわ かん)

中央大学を卒業後、金融のスペシャリストであるFP(ファイナンシャルプランナー)の事務所に業務提携パートナーとして参画。10年ほど在籍している中で感じた超高齢化社会の社会問題である「耕作放棄地」と「認知症によある」を解消するために、相続を包括的にサポートする『紡人(つむぎびと)』を発足。「最適解ではなく想いを最優先にしたプランニング」の考えのもと、相談者様に寄りそう相続対策・相続税対策をご提案いたします。

「親や祖父母から資産を受け取ると贈与税が高くなるのでは?」「相続税対策として、生前に財産を贈与したい」――そんなお悩みを解決するのが贈与税の相続時精算課税制度です。

この制度を利用すると、贈与税の非課税枠が大幅に拡大され、最大2,500万円まで贈与税なしで財産を贈与できます。また、資産を早期に移転することで、相続時の税負担やトラブルを軽減することが可能です。

本記事では、相続時精算課税制度の仕組み、メリット・デメリット、具体的な手続き方法、さらには賢い活用法を徹底的に解説します。この制度を正しく理解して、ご自身やご家族の財産管理に役立ててください。

贈与税の相続時精算課税制度とは?

相続時精算課税制度とは、親や祖父母が子や孫に財産を贈与する際に活用できる税制上の特例制度です。通常、贈与には贈与税が課されますが、この制度を利用すれば、最大2,500万円まで非課税で贈与できます。

ただし、この制度を利用した場合、贈与された財産は相続時に相続財産として再計算されます。そのため、贈与時に非課税であっても、相続税が課される可能性があります。

制度の概要

  • 非課税枠:最大2,500万円
  • 対象者:60歳以上の親または祖父母から、20歳以上の子や孫への贈与
  • 対象財産:現金、不動産、株式など

例えば、親が子に1,500万円を贈与する場合、この制度を利用すれば贈与税はかかりません。ただし、相続時にはこの1,500万円が相続財産として課税対象になる点に注意が必要です。

相続時精算課税制度のメリット

1. 高額な贈与を非課税で行える

通常の贈与税では年間110万円の基礎控除が上限ですが、この制度を利用すると最大2,500万円まで非課税です。特に住宅購入や教育資金など、大きな支出が必要な場合に役立ちます。

2. 資産を早期に移転できる

生前に財産を移転することで、相続時の財産整理がスムーズになります。特に、不動産など分割が難しい資産を早めに移転することでトラブルを防げます。

3. 家族間のトラブル防止

生前に資産を分配しておくことで、相続時の遺産分割を巡る争いを未然に防ぐことが可能です。

相続時精算課税制度のデメリットと注意点

1. 相続時に課税される可能性

贈与時に非課税であっても、相続時に他の財産と合算され、相続税が課される場合があります。贈与前に必ず税額シミュレーションを行いましょう。

2. 選択後の撤回は不可

一度この制度を選択すると、暦年課税(年間110万円の非課税枠)を利用することはできません。慎重な判断が求められます。

3. 不動産評価額に注意

不動産を贈与する場合、評価額が高いと相続時に思わぬ税負担が発生する可能性があります。不動産の評価額を事前に確認しておくことが重要です。

相続時精算課税制度の具体的な活用例

1. 住宅購入資金の支援

親が子に住宅購入資金を贈与する場合、この制度を活用すれば大きな金額を非課税で支援できます。

2. 教育資金の贈与

孫の進学費用や留学費用など、まとまった資金を贈与する際に活用できます。教育負担を軽減しながら、資産移転を計画的に行えます。

3. 相続財産の整理

生前贈与を活用して相続財産を整理することで、相続時の遺産分割トラブルを防ぎます。特に分割が難しい資産(不動産や株式)の移転に効果的です。

相続時精算課税制度の手続き方法

1. 贈与契約書の作成

贈与者と受贈者が契約書を作成し、贈与内容を明確にします。これにより、税務署への申告やトラブル防止がスムーズになります。

2. 税務署への申告

贈与を受けた翌年の3月15日までに、以下の書類を税務署に提出します:

  • 贈与税の申告書
  • 相続時精算課税選択届出書
  • 贈与契約書の写し

3. 相続時の再計算

相続時には、贈与された財産を相続財産に合算して再計算します。相続税申告時に必要な書類を準備しておきましょう。

相続時精算課税制度を最大限活用するポイント

  • 専門家に相談:税理士やファイナンシャルプランナーに相談し、リスクを最小限に抑えた計画を立てる。
  • 評価額の確認:特に不動産の評価額を事前に把握し、課税額をシミュレーションする。
  • 計画的な贈与:贈与税と相続税の総額を考慮し、最適なタイミングで制度を活用する。

まとめ

贈与税の相続時精算課税制度は、贈与税を抑えながら資産を移転できる便利な制度です。ただし、相続時の課税や制度選択後の制約があるため、注意深く計画を立てることが重要です。

本記事を参考に、制度の仕組みを理解し、専門家と相談しながら効果的に活用してください。家族の資産を守り、将来の負担を軽減する第一歩を踏み出しましょう。

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